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私がガラパゴスに行ったワケ
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なぜにひとはガラパゴスを薦めたがるのであろうか。
南米も終わりに近づき、あとは順調に中米に飛んで北上するばかりだなと思っていた私の手元に何通かのメールが舞い込んで、それがどれもこれもガラパゴスに行ったひとばっかりだったのでだんだんフユカイになってきた。忘れられない経験になりました、とか僕の旅のなかでもっとも幸せな期間だった、とかあんな美しい島はない、とか珍しい生き物を間近で見ることができた喜びとか夢の島とか人生最高の思い出とか、賛美の言葉を尽くして好き勝手書かれている。 ガラパゴスをほめるのは自由だけど、そういうのはひとのフトコロ具合を考えてから言ってもらいたい。なにしろ私は南米1ヶ月の予定が、パソコン盗難でつまづいてからというものあっちで延びこっちで延びしてはや半年ちかく。予算配分が破綻してないはずがなく、このうえガラパゴスなんかその気になってしまったら帰国まで危うくなってしまうじゃないか。
でも、憧れたりはしていなかった。いままで「すばらしい世界旅行」に始まって何度ガラパゴスの映像を見てきたかわからないけど、あんな遠いところ、ハナから無理に決まっていたから。でもその遠いところがいま目と鼻の先にある。行きたい、と思ってしまったら、予算のことを思考から追い出しても行ってしまうかもしれない。憧れることもできないほど遠かったはずのものが、近くにあると思えばこそ強く惹かれてしまうかもしれないじゃないか。考えてはいけない。私はどのメールを見てもクワバラクワバラと早々に閉じて、あまり考えないようにしていた。 それなのに、また誘惑するようなできごとが私を襲った。ペルーにいたときだ。 出発してから今年の2月のエジプトまで、実はインターネットマガジンという雑誌に旅の様子を載せてもらっていたのだけど、そのコラムの担当さんだった青木さん(できごと日記「パリの迷い」参照)からメールが届いた。どういう人選か知らないけど、2枚ばっかイラストを描いてもらいたい、という。手頃なイラストレーターさんが手近にいなかったのか、あるいは、出発まえに私が描いた、ホームページのトップのうさぎの絵を思い出してもらったのかもしれない。同じようなタッチでいいので、インプレスのwatchというページの連載に使う挿し絵を描いてほしいということだった。挿し絵の内容じたいはさほど複雑なものではなくて、ドイツ在住の筆者の方たちの住んでいる場所がわかるように、1枚はドイツの地図を背景にしてそこから本人のトレードマークであるギターを描き、もう1枚は地図を背景に似顔絵を描くとのこと。ちょっとですけどギャラも出ますので、とある。 ほかの国なら断っていたかもしれない。旅先からで連絡がつきにくい、ということもある。それに現在私の相棒のリブレットにはマウスがついてないから、画面のヨコにあるポインティングデバイスだけで、ひとさまにお見せするような絵を描くのは相当困難が伴うだろうと予測できたからだ。だけどペルーという国が私をぐらつかせた。実はこの国ほどインターネットカフェが充実しててしかも安い国をほかに見たことがなかった。その額、なんと1時間でたったの60円。街なかで不正コピーソフトがタダ同然の金額で売られているせいか、インターネットカフェのマシンにも有名どころのソフトがところ狭しとインストールされている。もし自分のマシンで絵を仕上げられなかったら、市街のインターネットカフェに行って何時間でもいりびたって仕上げればいい。たとえ30時間とかかかっても赤字にはならないだろ。と結局ひきうけた。 意外に作業は難しくなかった。私は以前から、パソコンで絵を描くときはまず下書きを紙に書いて、職場にあった開発中のスキャナで読みとって、その下絵に色つけをしていくことが多い。いまはスキャナがないけど、デジカメでじゅうぶん用がたりた。全部で20時間ちかくかけて、仕上げはインターネットカフェでやったけど、もちろん赤字ほどの出費にはならなかった。日本でやったら商売にならないけどこちらではとにかく生活費も安いしインターネットカフェも安い。インプレスの青木さんはできあがった絵を気に入ってくれて、正確な金額はわからないけどどうやら私はそのギャラを稼いだらしい。
ブラジルのサンパウロで会った知佳ちゃんとエクアドルのキトの日本人宿で再会し、一緒に新市街を歩いてガラパゴス行きのチケットを見てまわった。自分が本当に行きたいかどうもはっきりしなかったんで、知佳ちゃんも行かないかくり返し誘ったけど彼女は折れなかった。ガラパゴスは往復の飛行機代±$300と現地でのクルーズがン百ドル、そのほかに入島料が$100もかかり、総額はどんなに安く見積もっても$700ぐらいはかかる。何日かちょっと変わった動物を見てまわったぐらいで$700も出そうという物好きはそう多くはないみたいだった。 さて最初はガラパゴス行きのフライトをもつTAME航空に行ってここ数日の空席状況を訊いてみた。TAME航空に行ったのは、このオフィスに直接行けば15%の学生割引を受けられるよ、というメールが、イースター島で会ったロスから来ていたからだった。学生割引が受けられなければ、行かなくてもいいか、ぐらいのつもりで、まずは問い合わせに行っただけだった。 学生でない私が学生割引を受けるというのも申し訳ないんだけど、厚顔なことに私はキトに来てから本物の国際学生証をつくっていた。以前から持っていた、バンコク製のニセ国際学生証を持っていってもよかったのだけど、そちらは偽物のクセしていっぱしに年末で期限が切れようとしていた。それに最近ニセ学生証については各国で取り締まりが厳しくなり、ペルーで会ったある旅行者は、番号をコンピュータで照会されて偽物であることが発覚し、没収されちゃったとか。そんなわけでそろそろ本物がほしくなっていた。本物の学生証をつくる方法については不正なことなのでここでは書かないけど、とにかく本物の学生証を持って自信満々で窓口に立った。その私に担当の係が言った。 「学生割引はありますけど、10日後まで空席がありません」 なにっ。 これまでならここで10日ぐらい待ってもいいかと思ってしまう私だけど、そうもいかない事情が迫っていた。エクアドルのあと、私は中米に飛び、会社時代の後輩とグアテマラで落ち合おうって何ヶ月か前から連絡をとってたのだ。行けないのか。そう思うと急にどうしても行きたくなってしまうのが私のへそ曲がりなところだ。旅行会社をハシゴして、なんとかねじ込んでくれるところはないものかとあたった。そしたら2軒目で、いともたやすく、 「明後日の席?ありますよもちろん」 と答えるものがあった。しかもいいことに、現在はオフシーズンなので学生料金とほとんどかわらない料金で乗れるという。それで思わずとびついて買ってしまったのだけど、TAME航空であれだけハッキリ席がないと言われたのにここの旅行社のひとたちはオンラインで確認もしないで私にチケットをつくってよこした。大丈夫なの?ほんとに大丈夫なの?と何度も念をおしたけど、担当のひとは「アホなこと訊かないでくださいよあたりまえでしょ」というようにあっはっはと笑っている。狐につままれたような気分で店を出た。 翌々朝。荷物の一部を預けて宿を出た。先日のロスのメールによれば、クルーズは現地に行ってから、出発直前の船を予約するのが一番安いってことだった。今日午前中に飛んで昼過ぎにつき、午後のうちにクルーズを予約して、明日か明後日出発すれば1週間後ぐらいにはキトに戻れるだろう。朝8時前に出てトロリーに乗りバスに乗り継いで1時間。キトの空港の建物は一国の首都の空港というにはあまりにも小さく、私が利用してた東京杉並の高円寺駅をちょっと大きくした程度。新宿駅などには遠く及ばない。 さて9時になってガラパゴス行きの客の呼び出しがかかり、カウンターに並んだ。空港職員が私のチケットをコンピュータで確認するけど、なにか時間がかかっている。少々お待ちください、と2度ほど言われたあと、職員は私に顔をちかづけて、なにか隠し事をうち明けるように、 「予約がはいっていません。ウェイティングリストにのせますからお待ちください」 なにっ! やっぱりか!!TAME航空のオフィスで席がないというぐらいだからなかったんだ。やっぱり目の前で確認させればよかった。私の前に4人もひとがいた。(このひとたちいったいいつから待ってるのかしら、昨日のりそこねて今日来いっていわれたのかしら)・・・しまいには、(宿の日本人旅行者のひとたちに『じゃあガラパゴス行ってきます!』なんて元気よく出発してきたのに、今日どのツラさげて戻るのかしら)・・・などと想像があらぬ方向にはしる。 だけど不都合なことには、荷物だけはさっき並んだときにチェックインしてしまって、私が乗れなくても自動的にガラパゴスに行ってしまうようになっている。声をかけて荷物をとりもどしてもよかったけど、荷物を人質にわたして賭けに出るつもりがあった。これはエジプトでの話しだけど、浅野くんがアブシンベル神殿へ行く飛行機で立ち席だったという話をきいたことがあった。だから、席がないといわれたら、あわよくば吊革につかまってでも(たぶん飛行機にはなだろうけど)乗ってやれと思って黙っていたのだった。 20分だか30分、韓国のダイビングツアーやヨーロッパ人のツアー団体のチェックインの列が進んでいくのを見送った。誰か急に腹痛を起こしてとりやめてくれたりして・・・と横目で見送っていたら、列がひととおり済んだあと、ウェイティングリスト1番のカップルから順に前に進むようにと声がかかり、荷物だけじゃなく人間も無事チェックインすることができた。どうやらこういうことは日常茶飯事らしい。「席がなかったばあい空港にいってみよう。旅行会社はブロックで席を確保してフライト当日にリリースすることがある」とガイドブックに書いてあるのを読んだのはしばらくたってからのことだった。 飛行機は自由席で、適当な席にすわった。といってもボリビアのルレナバケからの飛行機みたいなボロじゃない。窓にヒビははいっていないし、ちゃんと遮光用の窓のカバーもあった。この飛行機は国内第二の都市グアヤキルを経由してガラパゴスに向かうというルートどりだった。グアヤキルまでのあいだでは、冗談みたいに小さいパンにハムとチーズをはさんだオードブルみたいなサンドイッチと1杯のジュースが出た。グアヤキルをとびたってからちゃんとした朝食が出され、1時間半ばかりで飛行機はガラパゴスについた。飛行機の窓から不審な木がたってるのが見える。地面に近づくにつれ、それがサボテンだということに気づいた。しかし妙だ。下半身が木で上半身がサボテンに見える。
着陸してカウンターに並んだ。旅行者がフルーツや種を持ってはいらないよう、国内線とは言っても持ち込み荷物検査があった。ガラパゴスはとても特殊な生物体系のある島なので、外部のひとがあやまって持ち込んだ強い種の動植物が地元の生物を滅ぼしてしまう可能性があるからだ。そして次のカウンターで入域料$100を支払った。機内預けにした荷物をうけとってバスにむかう。ここの空港は小さい島の1つにあって、そこからバスで港にいって小さいボートで別のサンタクルス島にわたり、そこからまたバスでガラパゴス随一の街プエルトアヨラまでむかう。バスはぎっちぎちに詰め込まれた混雑で10分か15分で港についた。無理矢理で30人乗れるかどうかぐらいの船に乗り込んで10分ぐらいで海をわたった。もうここからすでにこのおそろしく澄んだ水に目をうばわれた。 渡った先からバスに乗り、海辺の遊歩道の前でおりてホテルを探した。このへんで一番人気の高い安宿に行って、クルーズの道連れを探そう、と思って1キロも歩く。ところが残念ながらそこは満室だった。断られたそのとき、ちょうど中から出てくる背の高い青年があって、 「街の中心のほうに何軒かあるから、よければ案内するよ」 と言ってくれた。彼はここらへんでガイドをやってて、さっきのホテルには住んでるようなもんだね、と言った。バス停のあたりでいくつかの方向を指さしてあっちには××ホテル、ここには××ホテルと教えてくれたあと彼はじゃあね、と去っていこうとした。呼び止めて名前を訊くと、大きい体に似合わないかん高いハナにかかった声で、 「僕はルーベン」 といって浅黒い顔にほほえみをたたえ、軽く手をふって歩いていった。 結局彼の教えてくれたホテルを何軒かあたったあと、私はホテルダーウィンという街一番の安宿にチェックインした。値段はほかの宿と同じだけど網戸とドアの鍵がこわれていて、そのかわりバスがついてる。バスがついてはいるけど水シャワーだ。まあいいだろう、ガラパゴス諸島は赤道直下だから水シャワーでも冷たいわけがないし、それにここに泊まるのは今日だけか、長くても明日までのことだから。ただ、道連れを探そうと思っていたのにロビーもなにもない宿に泊まってしまってちょっと後悔した。ともあれ、クルーズを調べよう。 街に出たらさっそく旅行会社のひとヴィクトルから声がかかった。彼の旅行会社のカウンターに席をすすめられ、 「で、予算はいくらぐらい?」 と訊ねられた。 クルーズにいくら使うかは考えどころだ。というのは、本によれば「あまり安いクルーズだと船が小さく、したがって大型の船に比べて揺れが大きく、速度はなく、狭い範囲しかまわれないうえ、日中の大半を移動についやして、島への上陸時間が縮む」ということだったからだ。ここまでで航空券と入島料にすでに400ドル以上消えているけど、ひどく安いツアーで逆に楽しめない結果になってはもったいない。まあまあ安めのツアーで7日間か、やや高めのツアーで5日間ぐらいにしよう、とあたりをつけ、まずは予算を$500ぐらい、とヴィクトルに告げた。ヴィクトルは、 「そんだけあればじゅうぶん」 と言い、7泊8日で$520の18人乗りの船GABYを薦められた。そのクルーズは群島の西側の大きな島サンタイサベル島には行かないけど、ほかの多くの島は見れる。彼の説明ははきはきした英語でわかりやすく、見れるものとかもきっちり教えてくれて、この船でも申しぶんないような気になった。だけど、大型船で4〜5日という路線も捨てきれなかった。
「ちょっとほかも聞いてみる」
そのあとホルヘというひとに声をかけられて彼の旅行社にいった。彼はあまり英語が得意でなく、ちと説明がいいかげんだ。薦められたクルーズは予想よりずっと高くて1日$95もするやつだった。遠慮して出ようとしたら、 「このTROPIC SUNって船はいいんだぜ。ここのメールのプリントをみなよ。この4人組がべたぼめしてるだろ。彼らを喜ばせるのはほんとに難しかったんだから!」 と言う。ピンときて、 「このひとたちどこのひと」 ってきいたら 「イスラエルさ」 ヨコで一緒に説明きいてたイギリス人カップルが、さも納得したように 「ア〜ァ」 と声をあげた。 たしかにそれは難しい。イスラエルの旅行者たちはどこにいっても払ったお金以上のものを求めるのが常で、ちょっとしたことでトラブルが絶えず、いままでも旅行者のあいだで何度も話題になってきた。けど同時にイスラエル人旅行者はもの凄い倹約家でも知られている。どんなささいなものでも値切ることを忘れないし、宿はだいたい町のなかで最も安いところに集まるという定評がある。私の日記を読んでくれているひとたちは「どうしていつもそうイスラエル人ばっかり蔑視したようなことを言うのか」と思うかもしれないけど、これは私ばかりが思ってることじゃない。証拠に、そんとき私が 「でも変だよ。どうしてイスラエルのひとがこんな高い船に乗るの。ほんとにイスラエル人だった?」 とうっかり口走ったら、さっきのイギリス人のカップルが噴き出していたぐらいだ。そのぐらい、イスラエル人旅行者の倹約は世界に知れ渡ってるのだ。だけどこのメールのひとたちがほんとにイスラエル人としたら、その彼らを、わざわざメールよこすまでに喜ばせたTROPIC SUNってどんな船なんだろうか。にわかに興味がわいてきた。 でも牽制する意味でまず、 「いま別んとこでGABYが$480になるっていうからそれも考えてる」 といってみた。 「ああ、ヴィクトルんとこだな」 といってホルヘは計算機をとり、 「GABYだったらうちでも扱ってる。うちだったら、ん〜」 と彼は計算機を取りだし、 「$460にしてあげるよ」 といった。 「でもあんたはGABYってガラじゃない。あんたはTROPIC SUNだ。TROPIC SUNはいいよ。うまいメシ、きれいな部屋、絶対満足するよ。あそこにも書いてあるとおり」 とまたメールを指さす。私のガラについて会ったばかりの彼を信用していいものかと思ったけど、ぐらりと揺れた。ただ、TROPIC SUNは一日$95から一銭もまからないみたいだったから、結局ホルヘんとこも「考える」といって出た。 ガラパゴス諸島で随一の町、といってもその規模はしれている。海沿いの道にツアー会社が集まっているといっても10軒あるかどうかという程度だった。2,3軒のぞいて、ほとんどGABYにしようかと決めながら歩いていたら、とある旅行会社のなかから女の人が手をふって私をよびとめた。 「クルーズについて知りたいんだけど」 って言ったらやはりまずGABYと同じぐらいのクラスをすすめられた。手頃だし、私ぐらいの年頃のツーリストには一番一般的なんだろう。でもこのクルーズも西側のサンタイサベル島には行かないみたいだった。 「イサベル島にいくツアーないの?」 ってきいたら 「それはここではTROPIC SUNしかないわ。1日$95よ」 という。 「それはほかでもきいたんだけど、ここでも割引はないかな」 と聞いたら、 「ちょっと待って。この船は明日ここの港に着くんだけど、出発間際の割引がないか確かめてみるから」 と彼女は言ってどこかに電話し、しばらく喋ったあと、 「1週間のクルーズだったら、トータルで$630にするって言ってるわ。船主が私の友だちだから顔がきくのよ」 といった。1日$90で7日間。船は48人乗りの一応大型船で、クラスとしてはファーストクラスの部類にはいるっていう。しばらく考えた結果、やはり悔いのないようファーストクラスに乗ろうと決めた。だってGABYとの差はわずか$170。それで西側の島が入るか入らないか決まる。ここまでお金払っておいて$170を節約したんでは意味ないような気がしたのだ。
「どうなった?」 って明るく訊いた。 「きめちゃったゴメン」 っていったら、 「いいんだよ。どれにした?GABYかい?」 って彼が言うのでつい嬉しくなってしまって、 「それが、TROPIC SUNにしたの」 って言ったら彼はア然としていた。 「だって同じ額だったろ」 と訊ねる彼に、 「私の行った旅行社のひとが船主と友だちだったみたいでね。安くしてくれたの」 と答えてチケットを見せると彼は、 「そうか・・・そうかそうか」 と確認したあとちょっと吐き捨てるような感じで、 「その女は嘘つきだ!」 って言った。 嘘つき?船主と友だちだ、って言ったのがウソだってことだろうか。それを聞いてなんとなく(ああ、彼でもどっか電話すればこの値段は可能だったのかな)と思った。それからつらつら考えるに、1軒目のヴィクトルの「あと1人ぶんしか空きがない」というのも、私に申し込ませるための方便だったのかもしれないな、と思った。 ガラパゴス島は本土に比べると物価が高い。ツーリストむけのレストランでは1食に日本と同じくらいのお金がかかる店もあると聞いていたので、本土からもってきたピーナツバターを素っ気ないパンに塗ってその晩は済ませた。網戸の穴からとめどなく蚊が入ってくるので蚊取り線香を焚いて寝ることにした。今日は貧乏ぐらししても明日からはファーぁストクラスだからね。ファーぁストクラス。とにかく、明日は12時に集合してランチがあって、さっそくツアーだ。いいメンバーがいるといいなあ。 |