JalanJalanを知っていますか?
 バスターミナルは、ひとまた人だった。さすが首都っていう感じ。最初クアラルンプールについたとき、自分がどこにいるか皆目わからなかった。クアラルンプールは、マラッカからバスで2時間半くらいのところにある。マラッカで泊まったマラッカ・タウン・ホリデイ・ロッジで紹介してもらった宿は、高架鉄道でスルタン・イスマイルという駅の近くにあるはずだった。

「タクシー乗っちゃおうかな。」
 そういう考えが、一瞬頭をかすめた。いけないいけない。道がわからなくなると、すぐタクシーに頼りたくなるのは悪いクセだ。そりゃあ会社にいた頃は、お金より時間が惜しかったし、妹や後輩と出かけていたからひとりアタマは安かった。だから旅先でもタクシーをよく使ったけど、そうやっていたら多分予算は1年とは保たない。幸い、2・3人目でここがどこだか教えてくれたひとがいた。プドゥラヤバスステーションというところだった。それなら高架鉄道の駅もすぐ近くだ。とことこ歩いて駅についた。高架鉄道はきれいで、ものすごく近代的な感じ。首都という印象がさらに強まる。

 目的の宿は、ジャラン・ラジャ・ラウトという道路沿いにあるということだった。ジャランっていうのはマレーシアでは「通り」という意味らしい。とってもかわいい呼び方だと思った。日本の雑誌の「じゃらん」もここからとったのかなあと思いながら歩いていると、ほどなく宿を見つけ、チェックイン。今日の宿は「ベン・スー・ホームステイ」。いよいよ本格的な安宿になってきた。

 ジョホールで結局例の黄色いホテルに泊まったら(できごと日記「ホテル探しもラクじゃない」参照)、よろこびいさんでインターネットしすぎてうっかり1泊分のお金を電話代に費やしてしまっていた。切りつめなければ。エアコンのついてる部屋なんか泊まっている場合じゃなかった。室内にはベッドと扇風機しかない。でも不思議と暗い気持ちにはならなかった。前に見たことがある本格的な安宿と違って、ここは室内がカラっとしてイヤなにおいがしなかったし、窓があって風がよく吹き込むからみたいだった。

 クアラルンプールについたらまず挑戦しなければならないことがあった。それは「公衆電話」。電話したい相手というのは、マレーシア在住で、Jalan Jalanというホームページをつくって、マレーシア情報を発信しているひとたちの片方で、山森さんというひとだ。

 この山森さんというひとは、以前インターネットマガジンでコラム連載を持たれていたので、私がインターネットマガジン編集部に打ち合わせに行ったとき、編集さんから「マレーシアに行くならぜひ連絡とられるといいですよ」って紹介してもらっていた。ところが退職とか準備とかで連絡をとるのをすっかり忘れていて、マレーシアに入ってから「るるぶ」を見て、あっ、と思い出してあわてて連絡をとることにしたのだ。

※ 「るるぶ」についての細かいハナシ


 ジャラン・ラジャ・ラウト通りの周辺は至るところに公衆電話がある。電話会社がたくさんあるようで、種類も様々。テレホンカードがどこで売られているかわからないので硬貨をたくさん用意した。教えてもらった番号の携帯電話にかけるのに、どのくらいお金がかかるかわからない。まずは、適当な1台を選んで受話器を耳に付けてお金を入れてみる。何も起こらない。受話器を置いてみる。お金が戻らない。

 2,3台いったり来たりしてから、「受話器を持ち上げたときに音がしなくて、液晶の表示が出てない電話は壊れている」ということを身をもって学んだ。ここまでに50円くらいのお金がかかった。それから、音がして液晶も出てる電話機でなんとか山森さんを呼び出した。都合を聞いたら早速1時間後に「ユニバーシティ」駅で待ち合わせすることに。電話代に50円くらいかかった。それにしても山森さん、どんなひとなんだろう?ドキドキ。

 持ってきた服の中で一番見栄えのする格好を選んで電車に乗った。といったって、去年の夏タイに旅行したとき500円くらいで買ったスカートだ。ずっとたたまれていたので裾までしわくちゃ。駅で、乗り換え先がわからず一駅ぶん走ったら汗と湿気でシワが完全に伸びた。約束の時間に20分も遅れてしまったけど、シワが伸びてラッキー!

 待ち合わせのロータリーに降りたら、山森さんと一緒に「介さん」というひとも来ていて、Jalan Jalanでも紹介されているオープンエアのレストラン「Fatty Crab レストラン」へ車で案内してもらう。

 ここで私の旅行のはなしや、ジュエリーデザイナーという介さんのお仕事のはなしをしながら食事をごちそうになった。料理は、

(料理の鉄人の、解説の福井アナウンサーの声で)

  • あまカラすっぱい味付けが絶妙のチリクラブ。
  • 介さんの友人のタイ料理店、吉祥寺の「ペパーミントカフェ」のマスターも絶賛する、香ばしいチキンウィング。
  • ほんのり甘く香るマレー料理の代表、串焼きのサテー。ピーナツのタレをからませてお召し上がりください。
  • 一見グリーンピースに見せながら、実はグリーンピース大に刻んだインゲンの歯ごたえも軽快、Jalan Jalanの相棒井上さんが世界一と太鼓判を押すチャーハン。
    (福井アナウンサーの声おわり)


    ジューシーなチリクラブ

    香ばしいチキンウィング

     言うまでもなく、どれもホッペタ落ちるおいしさだった。でも、今日私が言いたいのはこのことではない。実はこのとき、すっごくいい話をきいてしまったのだ。

     山森さんは大手広告代理店の駐在員だけど、実はこんど会社をやめることにしたのだそうだ。私みたいにはじけちゃったの?まさかまさか!実はこんど、介さんと、インターネットで旅行関係のビジネスを始めるところなのだ。

     山森さんと、相棒井上さんの作るホームページJalan Jalanは、始めてから3年でかなり常連さんも増え、ファンも多くなってきた。そうして、最近ではマレーシアのことなら山森さんに聞けっていうので、現地のツアー情報などはどうやったら入手できるかという相談が、日本のひとたちからたびたび持ちかけられるようになったんだそうだ。

     ところで現地ではというと、マレーシアの国内ツアー情報をどうやって日本に知らせることができるだろうと、各種旅行会社のひとが知恵をしぼって、同じように山森さんに相談を寄せていた。でも今まで山森さんは勤め人だったから、そういうお手伝いはあまりできなかった。だって、「こういうツアーがあるみたいよー」で、紹介だけしても何かあったときに責任もてないし、責任もってやるとなると仕事と並行してはできないからだ。

     しかし、こうした相談が増えるにつれ、なんとかお互いの願いを叶えてあげたいと、山森さんは思うようになった。そしてついにこの両者を結びつけるべく、山森さんは立ち上がったのだ。

    インターネットを通してマレーシアの情報を獲得できて、予約までできるシステムを作りましょう」
    山森さんが声をかけると、たちまち150社もの現地企業が集まった。これまでJalan Jalanを通して山森さんに一目おいていた現地企業のひとびとが、山森さんの声に応えて結集した。この話をきいて、私はゾクゾクしてトリハダがたってしまった。

     このホームページはまだ仮オープンしたばかり。介さんもその立ち上げのためにちょうど日本からマレーシアに来ているところなのだそうだ。Jalan Jalanを見たことがあるひとならわかると思うけれど、山森さんの奥さんの描かれたイラストはそれだけでもめちゃくちゃキュートで目がハートになってしまうのに、そこへジュエリーデザイナーの介さんの洗練されたセンスを加えたら、どんなに魅力的だろう。

     今までは旅行代理店が決めた日程でショッピングばかり連れ回されていた旅行者が、ここマレーシアでは、ついに自分で、日本に居ながらにして、日本語で、旅の部品を選んで組み立てられる時がやってきた。ツアーのオプションプランだけでは語りきれないマレーシアを、ついに日本にいるひとたちも見る時がきたのだ。


    山森さんと介さんと

     山森さんは、永住してもいいぐらいマレーシアを愛しているひとだ。異国でこんなに強く必要とされ、認められることができる山森さんを私はとてもうらやましく思う。ひとつの地を踏みしめ、そこに深く深く根を張るということ。そのことのすばらしさを、山森さんと会ったことで私は学んだような気がする。

     このページを読んでくださるみなさんは、きっとやっぱり旅が好きで、もっと自由に旅を楽しみたいって思っている方も多いと思うので、ここにご紹介しておきます。

    ・・・マレーシアをこよなく愛するひとの手による、旅とマレーシアを愛するひとのための予約&情報サイトです。

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